WEB Class

活用事例

■ ユーザーレポート

活用例をいくつか、ご紹介させていただきます。

● 長崎大学におけるWebClassでの取り組みについて
● 東京情報大学におけるWebClassの活用事例
● 東京理科大学野田キャンパスでのWebClass活用事例
● 函館工業高等専門学校でのWebClass活用事例
● 名古屋文理大学におけるe-Learningの事例
  −ASPサーバで稼働するWebClassとコンテンツの活用−

● 大分大学大学院医学系研究科看護学専攻におけるWebClass事例
  −少人数クラスでのWebClassの活用−

● 弘前大学におけるINFOSS情報倫理の活用方法



●『長崎大学におけるWebClassでの取り組みについて』
  長崎大学情報メディア基盤センター 鈴木 斉


 長崎大学でのWebClassの取り組みの前に簡単に本学でのeラーニングシステムの変遷について説明させていただきます。本学でのシステムを導入したeラーニングに対する取り組みは、平成15年度に大学教育機能開発センター主導でのWebCTからとなります。平成17年度には、大学全体での使用に向けた検討を開始したものの、全ての教員が使うようになるためには、人的・金銭的な支援が相当必要となることが予想されていたためなかなか結論を出せずにいました。

 そこで使用するシステムの再検討が行われ、平成18年度からはWebCTと平行してWebClassの試行評価を行うことなり、平成20年度に全学的な基盤システムとしてWebClassを使用することを決定しております。

 システムは情報メディア基盤センターが運用を担当することが望まれていたこともありWebCTに限らず別システムも含め使用するシステムを
   ・基本的な使い方が簡単なもの
   ・システム管理等のサポートが受けられるもの
   ・金銭的にリーズナブルなもの
の3項目を中心に検討した結果としてWebClassを選びました。幸いなことにWebClassを利用してきた2年半の間に大きなトラブルも発生せず小さな問題が発生した際にも日本データパシフィック社のサポートに連絡することで迅速に解決していただいていますので十分に満足のいく選択ができたと思っています。

 本学は、上記のとおり全学的なeラーニングでは比較的後発グループですので、利用実績もそれほど多くはないのですが平成19年度が122コース、教職員133名、利用者1,550名、ログイン回数が延べ62,575回平成20年度はコース数が157増加し、教職員186名、利用者2,822名、ログイン回数は延べ102,699回となっています。今年度も現時点で既に150以上のコースを作成しております。本学の教員数が約1,000名でMoodle等の別途のシステムも小規模では使われていますので、まずまずの成果が出せていると思います。

  本学ではeラーニングを「対面講義を中心とするブレンディッド・ラーニングによる教育改善・支援」として位置づけていることから道具としてのWebClassの使われ方も色々と変化に富んでいます。講義資料の配布や予習・復習用の教材はもちろんのこと、薬学部等の国家試験対策、学生実験でのグループ毎の進捗確認、研究室運営用のグループウェア的な使い方、各種委員会での資料置き場等で使われています。
 
  変わったところでは学生さんのタイムレコーダ的にも使われていると聞いています。まだまだ本学のeラーニングの取り組みは始まったばかりですので、利用促進以外にも教務システムとの連携や学習履歴の積極的活用等課題は山積みなのですが、この勢いが失速することが無いようにしていきたいと考えています。



●『東京情報大学におけるWebClassの活用事例 』
  東京情報大学 環境情報学科  大城 正典

☆はじめに
 東京情報大学では,2005年度よりWebClassを導入しています。本学は名称のとおり情報教育を基幹とした学部を設置しており、以前より情報技術分野を専門とする教員を中心にe-learningシステムを構築し利用を始めていました。しかし、各教員毎に採用するe-learningシステムが異なっていたり、情報技術分野を専門としない教員の利用が難しいといった問題がありました。また、オープンソースのe-learningシステムの場合、セキュリティホールの発見や修正リリースなどにも常時気を遣わねばならず、教員の負担が大きいといった点も問題でした。
  一方で、本学では2005年度入学生よりノートPC必携化を決定したこともあり、全学的なe-learningの導入が必要とされていた時期でもありました。そこで、情報技術を専門としない教員を含む大学全体で利用ができるほど使用法が簡単で、工夫次第で様々な目的に利用できるほどの汎用的なシンプルさを持ち、なおかつ信頼できるセキュリティ対策サービスが期待できるe-learningシステム製品を検討し、結果としてWebClassを採用させていただくこととなりました。(もちろん、当時、他の商用e-learningシステムに比べて、WebClassのライセンス料が比較的安価であったことも採用の理由のひとつです)

☆利用状況概要
 2009年7月現在、本学のWebClassでは約260コースが管理・運営されています。本学の学部構成は1学部4学科で、大学院生も含めると約2200名の学生が在籍しています。WebClass用のサーバは1台ですが、この規模で特に問題なく後述のような運用・利用をしています。

☆授業での利用事例
 本学でのWebClassの主な用途はやはり授業におけるもので、設置しているコースの多くは特定の授業用に開設されたものです。4学科のうち環境情報学科・情報システム学科の2学科は、情報技術の教育・研究の比重が大きく、情報技術に関連する科目や教員も多いこともあって多くの科目でWebClassを利用しています。

 また、非情報系の科目や教員が多い情報ビジネス学科・情報文化学科でもWebClassの利用が広まっています。これは、学生のノートPC必携と、学内各施設の全域で無線LANや情報コンセントが整備されていることによって、e-learningシステムを授業で利用しやすい環境が整っているという事情もありますが、WebClass自体が比較的簡単に利用できるおかげでもあると思われます。

 授業での主な利用は、教材提示・試験・レポート提出など、WebClassの標準的機能を使ったものになります。しかし教員によっては、毎回授業の最後で理解度確認の小試験を行ったり、掲示板で学生からの質問や意見を受けつける等、使い方を工夫して授業を改善しようとしています。

 通常の利用法以外の使い方としては、学生の出席確認があります。WebClassは教材にアクセスした時刻とIPアドレスが記録されますので単に出席か欠席かというだけでなく、遅刻の度合いも知ることができます。情報系の授業では、プログラミングなどに代表されるように知識を積み上げていく形態をとることが多く、欠席や遅刻が授業内容の理解を致命的に妨げる可能性が高いと言えます。そこで、1年生の情報系必修科目の一部では、WebClass上に出席確認用の教材を毎回分設置し学生に出席時にすぐにアクセスしてもらうことで記録をとりPerlスクリプトでアクセスログを処理することで、遅刻すればするほど出席点が減るという出欠評価の仕組みを採用してきました。実際に筆者の担当している授業では、このような出欠システム採用後、安易な遅刻は見た目に分かるほどに減少しました。

☆研究室での利用
 WebClassのコースを研究室用に開設することも多く、手軽に設置できる掲示板を研究室メンバー相互のコミュニケーションの場や、ゼミへの出欠を事前に報告する場にするなど、便利に利用されています。教員によっては、学生の重要な連絡をEメールだけでなく、WebClass上の研究室用コースにも掲示して、必ず読むように指導することもあるようです。WebClassだとコンテンツにアクセスしたかどうかのログが残るので、確実に学生が連絡内容を読んでくれたかどうかを確認できるというわけです。

☆資格試験・キャリアデザイン対策
 本学では、情報関連・セキュリティ関連の資格試験対策や、就職活動支援の一環としてSPI試験対策のため、WebClass上の教材を利用してきました。特に、2008年度入学生から「ITパスポート」資格試験を全員受験することになったことをうけ、WebClass上に教材を設置して 関連授業で使用したり、学生の試験対策自習に利用してもらいました。残念ながら、「ITパスポート」資格試験は2009年春が第1回であるため過去問教材としては「初級システムアドミニストレータ」資格試験のものを使わざるを得ませんでしたが、内容的には重なる部分も多かったため、かなり役立ったようです。
☆事務的な利用事例
 WebClassは教員・学生の利用にとどまらず、事務職員にも利用され始めています。本学では毎年、後期開始直後に入学生をを対象としたアンケートを行ってきました。以前は、情報系教員が持ち回りでCGIで自作したシステムを使って実施していたのですが、3年前よりWebClass上でのアンケートに切り替えました。これによって、教職員の負担が軽減した上、集計・分析にかかる手間・時間も大幅に縮小しました。事務的に必要なアンケートを事務側で手軽に作成し,実施できるということは、大学全体のマンパワーを考えたとき,非常に大きなメリットと言えます。

☆最後に
 現在では,e-learningシステムは、オープンソースのものをはじめとして機能も豊富で高度化しており、使用者の好みに応じて様々なタイプのものを選べます。しかしそれ故に、大学全体で同一のシステムを共通の基幹システムとして利用しにくい面もあります。情報系の教員は、自分で開発したシステムやお気に入りのオープンソースシステムを使いたがるでしょうし、そういったシステムは非情報系の教職員が使用するには機能が複雑すぎることが多いものです。WebClassは基本機能のシンプルさのおかげで、情報技術に詳しくない教職員でも比較的利用しやすく、一方で使い込めばそれなりに高度な利用も可能であるという点で、大学全体の規模で採用するシステムとして適しているように感じます。

 



●『 東京理科大学野田キャンパスでのWebClass活用事例 』
  東京理科大学 理工学部  教授  川村 幸夫


☆はじめに
 東京理科大学野田キャンパスでは、現在複数のLMSが導入されています。WebClassもその一部で、利用は野田キャンパスの一部の教員のみに限られています。大学や担当教員から学生への連絡や資料配付、履修登録、その他の事務手続きなどは大学独自のシステムを用いています。

 このシステム(CLASSシステム)は、年々機能が向上し、ゆくゆくはLMS機能を持たせることが検討されています。また、独自のLMSを開発し、それを運用している先生方もいらっしゃいます。そのためもあって、WebClassの稼働率が伸び悩んでいるのではないかと思われます。ただしWebClassを利用している一教員としては
 1. 使いやすい
 2. 既製のコンテンツが利用できる
という利点から、大学独自のCLASSシステムとWebClassを併用しています。

☆現在の利用状況
 理工系の先生方(の一部)は、独自のシステムまたはMoodleなど他のLMSを利用しています。WebClassを利用しているのは英語教員とドイツ語教員のそれぞれ一部です。非常勤教員を含め、大いに利用していただきたいと考えているのですが資料配付がおもな目的であれば、大学のCLASSシステムで十分間に合いますので、なかかなうまくいかないのが実情です。ともかく、ここでは、本キャンパスでの実際のWebClassの使い方をお話しします。
☆WebClassの利用方法
 現在、本学、野田キャンパスでは、以下にWebClassを利用しています。
 (1) 授業 (授業時間内利用と授業時間外課題学習利用)
 (2) 資料配付 (授業時配付および事前配付)
 (3) 試験 (定期試験および授業時の小テスト)
 (4) アンケート調査
 (5) 教材のデータベース化
 (6) FD活動の情報発信 (教員向け)
上記のうち、(1)(2)(3)と(4)の一部は、(5)のデータベース化と連動させています。データベース化された資料から(1)(2)(3)(4)の情報に基づいて、おもに次年度の教材や試験問題を作成しています。 すでにこの使い方を実践されている方には当たり前かも知れませんが、WebClassは、教材のデータベース化にその能力を発揮すると思います。
 上記(1)(2)(3)では、1.既存のテキストの一部を利用、2.独自教材作成を行っています。テキストの一部をWebClassに載せることによって、たとえば、練習問題などの採点と情報収集が容易になり、受講生の理解度チェックが正確に、また頻繁に行えるようになります。それと共に、受講生の学習に合わせた独自教材作成が可能になります。授業の進度に応じてまたは、テキスト補完用に、追加教材もしくは理解度を上げるための復習用教材または試験問題を作成し、小回りのきく授業が可能になります。
 上記教材作成のうち、テキスト添付の音声教材を音声ファイルとして、1. 授業時の資料として配信、2.授業時の資料として教材に添付、3. 試験問題の一部として利用しています。受講生が全員テキストを持っているという条件で、販売会社の了解を得て、教材添付のCDまたはDVDの音声ファイルをWebClassに載せています。映像ファイルや画像ファイルの場合受講生の人数やサーバの条件によって、教材添付としてうまく活用できない場合もありますが、資料として各受講生にダウンロード可能であれば、授業や試験で有効活用ができると思います。野田キャンパスでは、受講生の人数によって教材添付と資料配信を使い分けています。

 (5)のデータベース化は、話が一部重複しますが、作成したコンテンツを項目別に(科目または教材別に)行っています。学期の間に定期的にチェックをし、場合によっては、そのつど修正(追加や削除)を行っています。(6)につきましては現在のところ、後述の既製コンテンツを配信しているだけですが、将来的には、教材データベースの相互チェックや相互利用、情報交換などに活かしていきたいと考えています。また、教員間の授業相互チェックの一部として、授業風景の映像配信も計画しています。

☆WebClassで利用可能なコンテンツ
 (a) ALC NetAcademy2 スタンダードコース対応テスト
 (b) ALC NetAcademy2 初中級コース対応テスト
 (c) ドイツ語文法入門コース(日本データパシフィック社)
 (d) 授業を効果的にする50の技法(日本データパシフィック社)
 (e) 教員独自開発のコンテンツ(およびデータベース)
 
 上記のうち(a)(b)は、TOEICの旧バージョン対応なのですがとても使いやすく、TOEICの新バージョンにこだわらなければ学習の習熟度確認にはとてもよいコンテンツだと思います。そのために、そもそもはNetAcademy(当時)の学習補完用に導入したのですが、現在でも使い続けています。
 (c)は、おもに通常授業の理解度確認に利用しています。とくに初学者の学習フォローには最適のコンテンツだと思います。授業そのものに利用することももちろん効果がありますが、復習用(一部予習用)として利用し、理解度チェックのうえ次回授業時に理解度の低かった項目を繰り返すことが可能で、学生も教員も効果的フィードバックに効果を発揮しています。

 (d)は、前述(6)の教員向けFD活動の情報発信として現在は利用しています。(e)は,前にも述べましたが、授業および試験のために作成したコンテンツをデータベース化し、学生の理解度の情報と共に、次の授業(現在行っている授業)と将来の授業(次年度以降の授業)に活用しています。

☆今後のWebClassの利用法
 授業を中心とした利用ばかりでなく、これからは,FD活動での利用を増やしていこうと計画しています。まだWebClass利用者(教員)が少ないので、まずは、利用者を増加させることが肝心ですが、利用者が増えれば、新たな利用法を導き出せる可能性が高まります。WebClassそのものや授業に関する情報量が増え教育改善に活かしていくことが期待されます。より多くの教員間でWebClassの利用法、コンテンツ、授業内容、学生の学習情報を共有し、今後のFD活動に活かしていく予定です。

 



●『函館工業高等専門学校でのWebClass活用事例 』
  函館工業高等専門学校 情報工学科  佐藤恵一


1.教育だけでなく業務にも活用するためにWebClass導入
 本校では以前、メール添付ファイルが大量に送信され、繁雑なものでした。例えば内線電話番号簿や議事録は、一部修正があるたびに何度も送信されていました。そこで学内専用Webサーバーを教育および業務利用のために立ち上げ、出張手続きの説明資料など年間通じてあまり変更のないものは、Webページとして公開し、メールはそのアドレスの連絡だけにするよう協力を呼びかけました。
 しかし、専門知識のある職員が一部利用するだけで、業務だけでなく教育用コンテンツとしてもほとんど利用されませんでした。そこで専門的な知識が無くとも教育または業務のための双方向のWebページを簡単に作成できるツールがないかと探していたところ、Webclassと出会いました。理想は、e-learningとグループウェア双方の機能を持ったツールでした。Webclassはe-learningソフトですが、ワープロが使える方であれば、ほとんどマウス操作だけで双方向のWebページを作成することができます。またアクセス制限など管理者の操作も容易であることやライセンス料が安価なこともあり導入を決めました。現在はWebサーバーとWebclassサーバー2台構成で教育と業務に活用しています。

2.本校の利用例
 2.1 利用概要
 本校は、本科が5学科5学年で学生数約1000名、本科の上位学年である専攻科が2学科2学年約70名、以上学籍総数約1070名体制の学校です。作成されているコース数は、授業での利用:52コース、委員会や部署において業務で利用:13コース、以上の65コースが運営されています。

 2.2 授業での利用
 授業における補助資料の提示、小テスト、定期試験、実験テキストの提示、実験レポート提出、授業アンケートなどに利用されています。特に英語科の問題演習、各学科の実験レポート提出の利用が活発に利用されています。
 私が実施した定期試験利用例を紹介します。問題用紙は、紙で配布し、解答をWebclassで行うスタイルで実施しました。学生PCが横並びに配置されている演習室で、ディスプレイが接近している場合は、紙箱を仕切りにして隣の学生の画面が見えないようにしました。実施当初は、不安なので紙による解答と並行して行いました。Webclassによる定期試験実施のメリットはやはり採点の負担が少ないことです。自動採点されない説明問題の場合でも、各学生の解答を一覧で横にらみしながら採点しますので効率よく波のない公平な採点ができます。正解率など授業を進める上で知りたい情報が瞬時に得られることも大きなメリットです。また、JABEE認定校の場合、成績一覧や解答用紙を整理された紙の資料で提出する必要がありますが、WebclassはExcelの表形式で必要資料を容易に作成することができます。JABEE関係資料は通常一科目、最終的に数百枚になりますがWebclassで実施した科目はB4用紙で10から20枚程度と少なくまとめることができました。

 2.3 業務での利用 
 42委員および各部署での議事録公開、公開講座での演習、見学会でのアンケート調査、八戸高専と函館高専との共同による教育研究などに利用されています。特に議事録公開は、管理者、利用者とも専門的な知識を必要としないため成功している例です。私の利用例を紹介いたしますと函館医療保育専門学校保育科1年の紙芝居製作の評価で利用いたしました。ゲストIDでログインさせ作品を学生たちに評価させました。Webclassはこのように学生に評価させる場合、有効なツールであると感じました。

3.私の失敗例
 私が行った失敗例を参考までに述べたいと思います。
(1)PC購入時のホスト名、IPアドレス取得申請やWebclassコース
 作成申請の受付申請業務をWebclassのアンケート集計機能を利用して行いました。しかし、年度初めなど決まった時期に一括して行う申請業務には有効ですが、非同期にしばしば発生し、即処理しなければならないような業務には、あまり便利ではありませんでした。
(2)実験レポートをテスト形式で提出させました。実験結果や考察を問題に解答する形で提出させました。行った理由は、記述式問題による提出は、各学生の解答を一覧表により比較できるためコピーを容易に見抜くことができるからです。しかし、この方法は実験で学んだことがまとまった資料として学生に残らないことや操作が煩わしいなどの理由で、文書ファイルをそのまま提出する通常の形に戻しました。
4.おわりに
 Webclassなどのツールを使った教育は、旧来の教育方法と比較してすべて優れているわけではなく、その長所、短所を理解して利用することが重要だと思います。その点を間違わなければWebclassは、多くの方が容易に使用できる優れたツールであると思います。

 



●『名古屋文理大学におけるe-Learningの事例』
 −ASPサーバで稼働するWebClassとコンテンツの活用−
 名古屋文理大学 情報文化学部  山住 富也


1.WebClassサーバの導入と設置
 名古屋文理大学でe-Learningを学内教育に活用するため、WebClassを10年近く前に導入しました。3年前までは大学構内にサーバを設置し、いくつかのコンテンツを活用していました。(自宅からのアクセスも可能でした。)

 学生は学内のコンピュータを利用する際に、図書情報センターより発行されているアカウントを使用します。当時、ユーザ認証はNISサーバを利用していたため、WebClassへのログインも同様にNISサーバにリンクしていました。よって、学生は共通のアカウントを1個だけ保持していました。しかし、セキュリティの観点から、NISサーバが廃止となり、また、公開するWebサーバはDMZ内に設置することになりました。

 WebClassサーバを継続して使用するため、どのような措置をとるか悩んでいるところへ、日本データパシフィック社のASPサーバをご提案いただきました。e-Learningはコンテンツの情報量や1度に使う学生数によっては非常に重たく感じることがあります。しかし動画や音声といったマルチメディアコンテンツが比較的少ないコンテンツを使う予定であり、かつ最大50名クラスでの利用が前提でしたので大きな問題はないと判断しました。ユーザ登録のときにアドミニストレータ権限がありませんので、年度初めに登録申請をして、まとめて登録作業をお願いしている点が心苦しいのですが、利用に関してはトラブルもなく安定して稼働しています。初回のログイン時に初期パスワードを学内のパスワードと同じものに変更すれば、以前とまったく変わらない環境となります。
以下は本学の実習で利用しているe-Learningコンテンツの活用事例です。

2.Webページ作成入門コース
 1年時開講科目で、HTMLやJavaScriptのコードをテキストエディタで作成し、Webページを作成する実習です。Webページ作成入門コースは、この実習と内容が非常にマッチしており、ブラウザでコード例の表示状態を見ながら学習を進めることができます。コース全体の構成を以下に示します。
 第1章 Webページ
 第2章 HTMLの基礎
 第3章 テキストの修飾
 第4章 箇条書き
 第5章 テーブル
 第6章 イメージの貼り付け
 第7章 ハイパーリンク
 第8章 フレーム分割
 第9章 入力フォーム
 第10章 スタイルシート
 第11章 JavaScriptの基礎

 このコンテンツをテキストとして参照しながら、HTMLの例題や日本情報処理検定協会が主催するホームページ作成検定の問題を課題として作成しながら進めます。半年間の内容としては適当な分量です。またコードによるWebページ作成は一見ハードルが高そうですが、このコンテンツで基礎から学ぶことによりドロップアウトする学生をほとんど出すことなく実習を終えています。

 WebClass上で同時に40名ほどの学生が利用しますが、とくに重い・遅いというようなことはありません。愛知県稲沢市にある大学で東京都内のASPサーバを十分快適に利用できています。WebClass自体がプラットフォームとして軽いことも要因の1つではないでしょうか。

3.Microsoft Office 2007入門コース
 1年時開講科目の情報リテラシーでWord、Excel、PowerPointなどOfficeツールの実習を行います。このクラスは最大45名程度の学生が同時に利用します。Microsoft Office 2007入門コースはツールの使用方法をわかりやすく基礎から解説したもので、間違いやすい操作にはデモ画面が付属しています。高校で情報の授業を受講してきますが、中には初心者も存在しますので、操作デモは重要なヒントになります。動画のコンテンツですので重たくなると考えられましたが、全員が同時にデモを実行するわけではありませんので、トラブルもなく活用できています。

4.おわりに
 WebClassは非常に軽快に稼働するLMSです。ASPサーバを利用させていただき快適に活用できています。上記以外でもJAVA言語入門コースなどさまざまな実習・ゼミナールにおいてコンテンツを利用しています。
今後はリメディアル教育や簡単なアンケートなどをWebClassに実装してみたいと考えています。

 



● 『大分大学大学院医学系研究科看護学専攻におけるWebClass事例』
  −少人数クラスでのWebClassの活用−
  大分大学 医学部看護学科  杉田 聡


 大分大学では2007年度よりWebClassを導入しました。それまでにはごく一部の教員が授業に関する資料を大学研究室のホームページに掲載することはありましたが、htmlファイルの作成等に手間取り、また資料を受講生のみに限定することにも苦労していました。このWebClassというLMSを導入するとともに、学生・院生の学習資源へのアクセスをよりよくする環境が設定されました。

 WebClassは大分大学の4学部すべてで利用されていますが、今回は医学系研究科修士課程看護学専攻での「少人数クラスでのWebClassの活用」について紹介します。

 本学看護学専攻の特徴の一つには社会人(常勤の職を続けながら受講する)の就学を奨励していることが挙げられます。そのため教員は同一の講義やゼミを昼と夜の2回開講しています。この形式の授業は教員に負担をかけるだけでなく、受講者全員で討論や情報の交換をすることができないという院生の学習にも問題が生じています。

 そこで筆者は「健康と病いの思想」というゼミを主とする授業を昼夜開講するとともにWebClassにも授業を開設しました。この科目は選択科目なので受講生はおおよそ5、6人程度で、(1)講義、(2)課題レポート作成、(3)課題レポート発表、(4)課題についての討論(Web上と対面式)という(1)〜(4)の過程を3つの課題について学ぶという形式をとっています。

 このうちまず(1)講義においては、「解説」の機能を用い、授業配布資料、授業用スライド、参考文献リストをアップロードします。このWebClassの機能は最も使われているものだと思いますが、様々な資料に授業担当者以外に著作権がある場合には、教育資料として「引用」の範囲に収めるよう苦労しています。
近年、教育等のフェアユースを広く認める案が関係諸機関で討議されているそうで、WebClassでの引用を超えた利用(公教育非営利、特定多数)が認められることを期待しております。また、資料中の文献や参考文献リストにおいては、授業について重要な事項ではあらかじめハイパーリンク化して、参考となるサイトやオープンコースウェア(無承諾で利用できる資料を公開している大学のサイト)、あるいはインターネット書店の該当ページへジャンプできるようにしていくと、(2)課題レポート作成において院生の学習も向上するようです。

 次に(3)課題レポート発表においては、「テスト/アンケート」の「レポート」の機能を用い、レポートをWebClass上に提出させています。この方法は従来のメールの添付ファイルとしての提出より各受講者のレポートを一つの箇所に集約できるという利点があり、また、課題によっては「ピアレビュー」の機能を用いて他者のレポートをクリティークさせることも有効です。

 (4)課題についての討論においては、「会議室」の機能を用いてWeb上の討論を実行しています。この方法が「少人数クラスでのWebClassの活用」として最も利用効果があったと教員も受講生も感じています。その方法とは、まず教員がレポート課題ごとの「会議室のタイトル」を作成し(投稿上の注意も書き添える)、各受講生が掲示板機能として自分の考えを投稿したり他者の意見に対する感想・反論等を自由に記入できるように設定しています。

 従来の授業においては昼間と夜間の受講者が別々にしか討論できなくなっていましたが、WebClassを用いることにより昼間と夜間の受講生の全員が同じ課題について討論できるようになりより幅の広い学習が可能となりました。また、ゼミ室での対面討論においては、「自分の意見を言いたいのだけどあれはどんな文献に書いてあったかな?」と根拠が不明のため言い出せないとか、「もう少し討論のテンポが遅ければ自分も意見が言えるのだけど・・・」といった理由から討論する者が少なくなりがちであったのですが、WebClass上の討論では

 1)何時でも何処でも討論に参加できる(受講者の中には、仕事・家事・育児をこなしたあと深夜に学習している者もいます)
 2)自信が無い場合にはきちんと資料を調べてから投稿することができる。
 3)他人の顔色を気にせず自由に意見を述べられるようになりました。そして最終の対面討論においては、Web上の討論であらかじめ論点が絞られているため、討論が活発になる利点もありました(本授業では必ず対面式の討論をゼミ室で行っています?このようにWebと対面の長所を相補することにより学習効果を高めています)。

 最後になりますが、本利用事例での課題点を述べたいと思います。上記したように筆者の授業では「会議室」の掲示板機能を多用しているのですが、現機能では投稿をした後で投稿者自身がいつでも削除できるようになっています。そのため、「誤った情報を書いてしまった」とか「討論が盛り上がりすぎてしり込みしてしまった」との理由から学生利用者が投稿を削除してしまい、それまでの討論の流れがわからなくなってしまうこともありました。自分の投稿に責任を持つという意味でも、学生利用者自身の削除機能は原則として「なし」にするか教員がオプションとして「(学生が)削除する・しない」を設定できるようになったらより適切な授業の進行ができると考えます。

 以上、雑駁ではありましたが「少人数クラスでのWebClassの活用」を記述しました。著者にはまだまだ使いきれていない機能があると思われますので、今後とも工夫していきたいと思います。

 



●『弘前大学におけるINFOSS情報倫理の活用方法』
  弘前大学 総合情報処理センター  佐藤 友暁


 弘前大学は人文学部、教育学部、医学部、理工学部、農学生命科学部で構成され、約6,000名の学部学生が在籍する中規模総合大学です。弘前大学の全学部学生を対象とした教養教育である「21世紀教育」は21世紀を生きるうえでの基本的な力を養うことを目標に掲げられ、弘前大学の全教員がこの教養教育に参加しています。「21世紀教育」では「情報I」、「情報II」、「情報III」が開講されており、学部学生はこれらの科目から最低1科目、最大2科目履修することが必要となっており、いずれの科目においても「情報倫理とセキュリティ」を2講時(1講時は90分)に渡って扱うことを要求されています。

 私はこの「情報倫理とセキュリティ」において、日本データパシフィック社の「INFOSS情報倫理」を活用しており、その利用方法について紹介させていただきます。

 私は「情報I」を担当しています。この「情報I」は、弘前大学の総合情報処理センターに設置してあるパソコンを使用し、実習によって情報リテラシーを学ぶ授業です。「INFOSS情報倫理」を導入する前は、テキストとパワーポイントを使用して「情報倫理とセキュリティ」を講義していました。しかし、パソコンを目の前にして講義を受けていることもあり、学生は授業と関係のないWebページを閲覧しているという状況が生じてしまいました。

 昨年度「INFOSS情報倫理2009年度版」を導入し、これを授業で活用することで、この問題を解消することができました。「INFOSS情報倫理」は学習教材と修了テストで構成されています。この修了テストは5つのテストで構成され、各修了テストは四択の問題が20題で構成されています。このため、修了テストを全部行うだけでもかなりの内容を学ぶことが可能です。この修了テストはその場で自動的に採点され、何度でも同じ修了テストを受けることが可能です。

 さらに修了テストの出題順番はランダムに出題されます。そこで私の授業では100点満点中80点になるまで何度でも修了テストを受けるもらうことで学生に「情報倫理とセキュリティ」を学んでもらっています。

 また、近年は全国的に規定の授業回数を確保することが必要となっており、休講した授業は補講によって補うことを要求されています。弘前大学の21世紀教育では補講期間が用意されていますが、この期間が夏休みまたは春休み開始直後の2日間しか用意されていません。このため、他の授業の補講と時間帯が重複し、私の授業へ出席できないという問題が発生していました。この問題に対し、私は「情報倫理とセキュリティ」を補講期間に実施することでこの問題に対処しています。

  「INFOSS情報倫理」は学内からはいつでもどこでも利用が可能であるため、私の授業へ出席できない学生は、空いている時間に「INFOSS情報倫理」を使ってもらっています。先ほど述べたとおり80点になるまで何度でも修了テストを受ける必要があるため、私の授業へ出席しなくても「情報倫理とセキュリティ」を学ぶことが可能です。

 情報倫理を学ぶことは学部学生のみならず、大学院生や教職員にとっても必要です。弘前大学における「INFOSS情報倫理」の運用はMoodleを使用し、その上で通常版、英語版、振り仮名版の3つのコースを開設しています。弘前大学の教育用システムにアカウントを有する学生および教職員は「INFOSS情報倫理」へ自由にアクセスすることが可能になっています。弘前大学はアジア地域からの留学生が多く在籍していることもあり、「INFOSS情報倫理 振り仮名版」も活用されています。